研究分担者 |
前田 均 大阪市立大学, 医学部, 教授 (20135049)
龍野 嘉紹 神戸大学, 医学部, 教授 (80030831)
小嶋 亨 広島大学, 医学部, 教授 (70037399)
篠原 利明 科学警察研究所, 法科学第1部, 部付主任研究官
大栗 直毅 日本分析工業(株), 研究所, 主任研究員
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研究概要 |
極く微量の生物試料から,アルコ-ル,クロロホルム,トルエンなど数多くの揮発性薬毒物を迅速・簡便でしかも正確に分析しうる装置の開発と測定方法の確立のため,本年は2年目最終年として、測定方法の実務面での確立を目指し、1)動物実験試料について同一のものを異なる5機関で測定しデ-タの比較及び2)剖検試料についてpulse heating法と気化平衡法で測定し各デ-タの比較を行なった。 1.エタノ-ル,クロロホルム,エ-テル及びトルエンを投与したウサギの血液、血清及び尿を本法で測定したデ-タについて各機関ごとに比較すると、i)エタノ-ル濃度は,機関AとBではA=‐0.047+1.22B(n=34、r=0.943)、機関AとCではA=‐0.008+1.21C(n=45,r=0.928),機関AとDではA=0.044+1.05D(n=24,r=0.990)、機関AとEではA=‐0.110+1.25E(n=36、r=0.956)(但しnは試料数,rは相関係数)であり、機関間で非常に良い相関を示し,本法の有用性が証明された。ii)エ-テル、クロロホルム及びトルエン濃度について、同様に比較すると機関AはCではA=45.0+0.592C(n=24,r=0.601),機関AとEではA=23.6+0.666E(n=38,r=0.858)であった。これらは施設間のばらつきが大きいことを示し、輸送容器・方法等も含め今後の検討課題として考えられる。 2.剖検試料からのエタノ-ル濃度について本法と気化平衡法とを比較するとY=0.007+0.993X(n=85,r=0.996)(但しY:pulse heating法による値mg/ml,X:気化平衡法による値同)であり,極めて良い相関を示した。 以上、本法は簡便旦つ迅速微量分析方法であるが、上記のように異なった機関においても良く一致した値が得られ,また実務試料においても正確に分析できることから,エタノ-ルをはじめとする揮発性薬毒物の分析のための一方法としてその信頼性が確立されたものと考えられた。
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