研究課題/領域番号 |
02557033
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
太田 正穂 信州大学, 医学部・法医学, 講師 (50115333)
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研究分担者 |
矢野 明彦 長崎大学, 医学部・医動物, 教授 (20135122)
猪子 英俊 東海大学, 医学部・移植第II, 助教授 (10101932)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | HLAーDNA タイピング / PCRーRFLP法 / 遺伝子型 / HLAークラスII 抗原 / HLAークラスI 抗原 / 制限酵素 / 個人識別 / 親子鑑定 |
研究概要 |
白血球HLA抗原は、遺伝的多型性に富むため法医学における個人識別や親子鑑定には有意義な遺伝形質である。またHLA抗原は、疾患感受性や臓器移植の拒絶反応に重要なかかわりを持つことが知られている。今ままでこれらのHLA抗原は、血清学的、細胞学的方法で調べられてきたが、最近の遺伝子工学の発展により分子遺伝子レベルでの解析が可能となりつつあった。特に、法医学で扱う試料は、新鮮な物は少く細胞膜上抗原が破壊され検査不可能な事が多い。そこで遺伝子レベルでの解析が可能となれば今まで以上により大くの情報を得る事が可能である。本研究では、HLA抗原遺伝子のタイピングの確率を試み、法医試料での実用性、疾患感受性遺伝子の研究、骨髄移植を含む臓器移植での有用性について検討した。その結果、HLAーDNAタイピング法としては、放射性同位元素や多くのプロ-ブを使用しなくて済むPCRーRFLP(restriction fragment length polymorphism)法を考案した。この方法は、増幅遺伝子を各糧制限酵素で反応後、各制限酵素により増幅遺伝子が切断されるかされないかを調べ、その反応パタ-ンから遺伝子型を決定する方法である。PCRーRFLP法では、HLAークラスII遺伝子DQAL、DQBI、DRB1、DRB3、ORB5、DPA1、OPB1についてホモ、ヘテロを含めた遺伝子型が判定可能である。実際この方法を用いて、古い血液、歯芽組識、骨組識、手髪、ホルマリン固定切片などからのHLAークラスII遺伝子型判定が可能であった。又、疾患感受性との関係では、自己免疫性肝炎(AIH=autoimmune Hepatitis)患者は、DRB1遺伝子のβ1ドメインエキソン2領域の13番目のアミの酸が、ヒスチジンかアルギニンの塩基性であり、この塩基性のアミノ酸が本疾患感受性に関与していることが本法を用いて解明された。
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