研究課題/領域番号 |
02557041
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
成澤 邦明 東北大学, 医学部・病態代謝学教室, 教授 (90004647)
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研究分担者 |
鈴木 洋一 東北大学, 医学部・病態代謝学教室, 助手 (80216457)
呉 繁夫 東北大学, 医学部・病態代謝学教室, 助手 (10205221)
松原 洋一 東北大学, 医学部・病態代謝学教室, 助教授 (00209602)
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キーワード | 遺伝子診断 / 遺伝子変異 / 乾燥濾紙血液 / 中鎖アシルCoA脱水素酵素 / メチルマロン酸血症 |
研究概要 |
1.メチルマロン酸血症の遺伝子解析; 重篤な臨床症状を呈したメチルマロン酸血症の8例からの培養線維芽細胞を用いて種々の解析を行った。ウエスタンブロットでは8例全例で、抗メチルマロニルCoAムタ-ゼ抗体と反応するCRMは陰性であり臨床症状との相関を示している。遺伝子変異の検索では4対立遺伝子の変異がアミノ酸置換を伴う点変異(ミスセンス変異)であり、他の12対立遺伝子はmRNAの著明な減少を引き起こす遺伝子変異(mRNA^-変異)であった。ミスセンスは1106番目のGがAに、1595番目のAがGに変異し、各々アルギニンがヒスチジンに、ヒスチジンがアルギニン置換したもの、2006番目のTがAに変異し、バリンがグルタミン酸に変換したもの、1103番目のTがGに変異し、バリンがアスパラギン酸に変換したものである。発現実験からミスセンス変異はいずれも病因変異であることを確認した。本邦のメチルマロン酸血症は重症型が多く、CRM(-)で、しかも対立遺伝子の75%もの多くがmRNA^-である特徴を有している。 2.中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症の遺伝子診断; MCAD欠損症は、発症時の適切な処置なしには急激な経過で死に至ることから、早期診断が極めて重要な疾患である。従来の診断法が極めて煩雑だったため、簡易診断法が強く望まれていた。34例の白人患者の解析により、K329E変異が高頻度(病因対立遺伝子の91%)に見られることを明かにし、濾紙血液を用いた遺伝子診断法を確立した。更に、英国、米国、オ-ストラリア、及び日本の新生児濾紙血液各々500検体を用いて保因者頻度を検討したところ、英、米、豪の保因者は約60人に1人であった。一方、日本人ではこの変異は見いだせなかった。
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