研究概要 |
Ferromagnetic hyperthermiaに適する磁気変態点(キュリ-点:Tc)をもった鉄ー白金合金の開発を行った。目標特性としたのはTc<80℃、Tc前後で透磁率が大きく低下することである。 文献の検索より白金含量51ー56wt%の材料について検討した。また450℃、24hr、700℃、4hr、900℃、1hr各条件での熱処理の影響も調べた。いずれの溶製材料も50ー130(Tc1)℃、350ー410(Tc2)℃の2つのキュリ-点を有していた。なお磁化率は静磁力と比例するため磁気天秤にて静磁力を測定することによりキュリ-点を得た。また静磁力の落ちきった温度をキュリ-点と定義した。Tcと白金量、熱処理条件の関係を調べたところ、Tc1は白金量の増加と共に上昇し、700℃の熱処理では組成によらず80℃を超えた。静磁力変化に及ぼす白金量、熱処理については、白金量が増えるに従い、静磁力変化は増大し、また熱処理の効果は700℃が最も大きく、450℃、900℃、溶製のままの順序であった。静磁力変化とキュリ-点の関係が逆相関関係にあることが明らかにされ、今回検討した範囲内では56%白金の450℃熱処理材が最もバランスがとれていた。本材料の静磁力ー温度曲線の分析よりキュリ-点は80℃、その温度で92%静磁力は消失し、発熱量は30%となることが明らかにされた。 径1x1mm、長さ30mmの鉄ー白金合金針9本を用いて寒天、動物腫瘍での加温実験を行なった。寒天ファントムに針を1cm間隔に配列し,300eの磁場で発熱させたところ、加温計に囲まれた範囲が43ー50℃の平衡温度となった。家兎大腿部に移植したVXー2腫瘍に同様の加温実験を行った。針加工に問題があり十分な組織内配列が行えなかったが、生体でも十分な発熱が得られることが示された。
|