研究概要 |
昨年の噴流用溶液などの基礎的研究に引きつづき,本年は噴流による破砕状態,血管内膜の損傷程度およびシステム構築について検討した. 1.高脂質飼料投与により家兎胸部大動脈に発生させた粥腫,あるいはレ-ザ-照射により形成された血栓に対し,直視下または内視鏡下で噴流噴射を行い,粥腫や血栓の剥離状況や過程を観察・測定した. 噴流の正常血管に与える影響,特に内膜損傷や血管穿孔についての検討は家兎の動脈内膜にたいし種々条件下で噴射することにより行なった. 検索は走査電子顕微鏡によりその表面形状,また病理組織学標本により内部への影響を調査した.その結果,内膜の損傷は電顕および組織学上,ノズルから5mm以上離れた正常血管内膜部位では見られなく,また通常の噴射による血栓除去後の損傷は軽微であった. 2.次に,臨床用システムの試作開発を行った.システムは,基本的要素として,ノズル付きカテ-テル,溶液加圧装置,画像診断装置から構成される.本法による血管形成術は方法論から,血管用内視鏡で病変部を観察する方式と,造影剤をジェット溶液としX線透視下で血管形成術を行う2方式を開発した.実験の結果,2方式とも長所短所が存在することから,何れの方式を選ぶかは症例によるものの,初めに段階ではシステム導入の難易にもよることになる. 適応は,一般外来や救急外来における急性期の症例を対象とするものと,慢性症例への本格的手術がある.いずれも画像診断装置で逐次モニタ-しながら治療する. 3.本法の手術適応,安全性,操作性,手術成積,また応用分野などハ-ドウエア,ソフトウエアの両面から検討するため,平成3年度に医用ジェット研究会を新設し,討論の場を持つこととなった.
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