研究課題/領域番号 |
02557052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20197643)
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研究分担者 |
藤正 巖 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
阿部 裕輔 東京大学, 医学部, 助手 (90193010)
井街 宏 東京大学, 医学部, 助教授 (10010076)
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キーワード | 人工心臓 / 駆動装置 / 液化ガス |
研究概要 |
本年度は、今までの結果を基にして、動物実験用に50Wのインバータ制御小型コンプレーッサーを用いた回路を新たに設計試作した。この回路の特徴は、常温で気化するフレオン123を使用し、高圧側ではガス温を70℃に、低圧側ではガス温を30℃に保ち、それぞれ絶対圧2.0kg/cm2および0.5kg/cm2の安定圧を作り出すものである。ガス温およびガス圧を安定化させるために、人工心臓に入力する回路の他に、バイパス回路を設けて回路内でガスをある程度循環させる方式とした。また、本駆動装置の各要素毎にエネルギーの入出力関係が把握できるように、温度センサーおよび圧力センサーを挿入した。さらに、血液ポンプにフレオンや冷媒油が接触しないように、アイソレーターを設けた。この実験装置を用いて、モック試験を行なったところ、設計通りのポンプ出力が得られないことがわかった。これは、系全体の熱損失が大きく、コンプレッサを通して系に与えられるエネルギーが十分に人工心臓の駆動に伝えられていないことが原因であった。すなわち、コンプレッサーから人力されたエネルギーは、ガスの圧力、圧縮し液化させる状態変化として系に蓄積されると同時に熱のかたちでも回路内に蓄積される。この温度条件がガスの気化圧を補償して圧力条件を決定する。しかし、実際の回路では、十分に遮熱してあっても、コンプレッサー本体や配管、アキュムレータで放熱が起こり、それとともにコンプレッサーから入力されたエネルギーが逃げてしまう。その結果、ガスがアイソレーターの部分に流れてくる時点においては、すでに温度条件が下がっており計算通りの気化圧が得られていないということがわかった。コンプレッサを300Wのものに変えると、この回路でも、十分に人工心臓を駆動可能であった。したがって、単にコンプレッサを小型高効率化するのみならず、回路自体の熱設計が重要であることが判明した。
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