研究課題
1.人工椎間板の基本的設計概念を決定した。弛みの防止のために骨と直接結合する生体活性セラミックスを使用し、多方向の複雑な可動性を付与するために生体適合性高分子材料を採用した。2.材料の決定及びその基本的特性の検討のために人工椎間板基本一次モデルを製作した。2枚の生体活性セラミックス円板の間に生体適合性高分子材料をはさんだ形状とした。力学的強度と骨との結合能からアパタイト-ウォラストナイト含有ガラスセラミックスを、至適硬度から医療用シリコンエラストマ-を採用した。3.医療用シリコンエラストマ-の基本的物性を検討した。概ね良好だが、生体類似環境では長時間で圧縮永久ひずみが増加する。今後の検討が必要である。4.人新鮮屍体の腰椎椎間板と基本一次モデルとの力学的特性を比較検討した。圧縮及び引張負荷での剛性値を人腰椎椎板間と同一になるように、シリコンエラストマ-の弾性率を調節して基本一次モデルを製作した。しかしねじりに対する剛性値は人腰椎椎間板の方が約10倍大きかった。5.三次元有限要素法を用いた解析モデルを作成して、4の結果が椎間板の形状のためか否かを検討した。その結果、形状の効果はわずかであった。6.人腰椎椎間板の力学的特性に及ぼす髄核の影響を検討した。健常椎間板、髄核摘出後の椎間板、および髄核を医療用常温硬化型シリコンエラストマ-で置換後の椎間板のそれぞれについて同一の力学試験機、同一の負荷条件にて力学的試験を施行した。その結果、髄核摘出により圧縮、引張、ねじりのすべてに対して椎間板の剛性値は大きく低下した。また髄核をシリコンエラストマ-で置換しても剛性値の回復はわずかであった。このことより髄核の内圧が椎間板の力学的特性に大きく関与していることが推察された。7.人工椎間板動物用一次モデルを製作した。犬に埋め込んだが脱転した。モデルの改良と内固定具の改良・併用の検討が必要である。
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