研究課題/領域番号 |
02557067
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 長久 京都大学, 医学部, 講師 (70211662)
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研究分担者 |
竹内 篤 京都大学, 医学部, 助手 (70216844)
山本 文昭 京都大学, 医学部, 助手 (60191441)
岡田 守生 京都大学, 医学部, 助手 (70221140)
塩崎 忠 京都大学, 工学部, 助教授 (80026153)
平岡 真寛 京都大学, 医学部, 助教授 (70173218)
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キーワード | 眼内腫瘍 / 温熱療法 / 強磁性ガラスセラミクス / 増殖性硝子体網膜症 |
研究概要 |
昨年度の研究成果をもとに、本年度は2つの新知見を得た。まず、眼内腫瘍の温熱療法に適した発熱体として、磁場の中に置くことによって発熱する強磁性ガラスセラミクスを開発し、この発熱体の特徴について検討した。寒天ファントムを用いて発熱体の組成、形状、磁場の条件等に関する基礎的研究を行う一方、実際にコンタクトレンズ型の強磁性ガラスセラミクスを家兎眼強膜に縫着し、磁場をかけて家兎眼の眼内温度分布を検討した。この結果、われわれの開発した新しい強磁性ガラスセラミクスによって温熱療法開始7分後に網膜表面の温度を43.5℃まで加熱することができ、その後この温度を維持出来ることが明かになった。また、加熱した周囲の網膜、硝子体、周囲組織では、温度上昇は軽微であり、このセラミクスを用いれば限局的な加温が行えることが分かった。温熱療法を行った家兎眼の組織学的所見では、セラミクス縫着部網膜に軽度の萎縮を認めた以外には特に異常所見を認めなかった。このように新しい強磁性セラミクスが眼内腫瘍の温熱療法を行うのに非常に適切な材料であることが分かった。一方、失明に至る重篤な病態である増殖性硝子体網膜症の発症に重要な役割を果たしている網膜色素上皮細胞の増殖能に対する温熱療法の効果および放射線療法と温熱療法の併用の効果について培養ヒト網膜色素上皮細胞を用いて検討した。この結果、放射線療法単独に比して放射線療法と温熱療法の併用が有意に網膜色素上皮細胞の増殖を抑制する効果の高いことが明らかになった。
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