研究課題/領域番号 |
02557069
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栗栖 浩二郎 九州大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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研究分担者 |
上野 和則 日本歯科薬品(株), 研究開発部, 部長
久木田 明子 九州大学, 歯学部, 助手 (30153266)
松橋 幸子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (00128141)
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キーワード | エナメル芽細胞 / 初代培養 / 株細胞 / 歯胚 / 形質転換 / ラット / 発生 / 発癌遺伝子 |
研究概要 |
エナメル質の形成過程におけるエナメル芽細胞の形態学的研究については、これまでにも数多くの報告があるが、エナメル芽細胞を文化状態を維持したままで培養する方法が確立していないため、エナメル芽細胞自体の生理的特性や、その分化に伴う変化については不明な点が多い。従って本研究では(1)ー定期間エナメル芽細胞の分化状態を維持できる初代培養系の開発と、(2)エナメル芽細胞に発癌遺伝子を導入することによってエナメル芽細胞の特性を保った細胞株を樹立することを目的としており、本年度における研究経過と実績の概要は以下の通りである。 (1)生後7〜8日のラットの下顎切歯胚の唇側部より、エナメル芽細胞層を乳頭層を含めて滴出した。これをトリブシンとコラゲナ-ゼ溶液で処理して、混入した間葉細系細胞を除去して、上皮系細胞のみが選択的に培養可能な培地で培養した。(2)この細胞群は形態的に2種の細胞よりなるが、Caイオンの添加により丸みをおびた細胞は培養ディシュにはりついてやや細長い星状形を呈した。(3)この細胞を、アメロゲニンに対するモノクロ-ナル抗体En_3を用いて免疫染色したところ、陽性を示し、エナメル芽細胞がその分化状態を保ったままで培養できたことが明らかになった。(4)現在この細胞に対する種々の生理活性物質の影響を調べているが、TGFβは分裂活性を抑制することがBrdU染色法によって明らかになった。今後、活性型ビタミンD_3、プロスタグランディンE_2、レチノイン酸の影響を検討中である。(5)また、この細胞の株化については、分化能を保ったままで細胞を転換することが知られているパピロ-マウイルスを電気穿孔法によって導入する実験をおこなっているが、現在までにはまだ成功していない。今後、このウィルスを導入するための最適条件を追求して行く予定である。
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