研究概要 |
市販されている光重合型レジンの照射器に変わる光線発生装置として,アルゴンイオンレーザー発振装置に改良を加え,歯科臨床用の照射器を試作し,その基礎的研究を継続して行っている。さらに,本装置の臨床応用に向け,装置の改良並びに臨床使用法について検討を加えているが,現在までに得られた知見について報告する. 試作アルゴンイオンレーザー照射器の臨床応用にあたり,その波長選択の基礎試料を得るためにSingle LineとMulti Lineを用い,これが市販の光重合型レジンの歯質接着性におよぼす影響について検討を加えた.その結果,試作レーザー照射器は,市販の照射器とほば同等の接着強さを示し,臨床応用にあたっても476.5nmを含むレーザー光線は有効な光線であることが示された。 次に,この試作レーザー照射システムを実際の口腔内でのレジン修復に応用するためにの検討事項として,レーザー光線の口腔内導入システムとしての光ファイバー並びに照射器チップの開発を進めてきた。照射チップの開発にあたり,レーザー発振装置からの発振線をできるだけ減衰させずに誘導し,チップ先端は口腔内での使用を考慮してコンパクトで,しかも照射ビーム径を変化させることが可能なシステムを考案した。今後,試作された光ファイバーによるチェアーサイドへのレーザー光線の伝導システムに改良を加えるとともに,レジン修復物の臨床経過の全容を,USPHSのCriteriaを一部改良した評価基準にしたがって把握する予定であり,現在,本学部の治験審査委員会および倫理委員会にその臨床治験についての諮問を行う段階にある。
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