研究課題/領域番号 |
02557081
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長坂 信夫 広島大学, 歯学部, 教授 (30064827)
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研究分担者 |
香西 克之 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (10178212)
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キーワード | 齲蝕 / ミュ-タンス連鎖球菌 / 野菜 / 不溶性グルカン / ビ-ト / ルバ-ブ / オレアノ-ル酸 / シクロデキストリン |
研究概要 |
我々は、齲蝕予防を目的として主に植物成分の抗齲蝕性について研究を行なっているが、本研究では野菜類に注目しビ-ト、西洋ワサビ、コ-フリ-、フキ、ルバ-ブ、ナナカマドの水抽出物について齲蝕抑制能をスクリ-ニングした結果、その全てに不溶性グルカン合成抑制が、さらにコ-ンフリ-、ルバ-ブ、ナナカマドにミュ-タンス連鎖球菌の増殖抑制能が認められた。これらの野菜抽出物のラットによる齲蝕抑制実験が原料の入手困難により不可能となったため、ビ-トからの齲蝕抑制活性成分である、五環性トリテルペンのオレアノ-ル酸を抽出し、本物質の臨床応用への開発を行なった。オレアノ-ル酸は、水不溶性でvitroにおいてはジメチルスルフォキシドを使用したが、臨床にはこの溶媒は使えない。そこで様々なオレアノ-ル酸の可溶化を試みた結果、シクロデキストリンで包接することによって水溶化できることがわかり、このオレアノ-ル酸シクロデキストリン包接化合物(OA-CD)の齲蝕抑制効果をin vitroで測定した。その結果、OA-CDはStreptococcus sobrinus OMZ176の不溶性グルカン合成をオレアノ-ル酸濃度25μg/mlで30%、50μg/mlで54%、100μg/mlで70%阻害した。さらにmutans streptococciに対する抗菌作用は、4〜8μg/mlの最小発育阻止濃度を示した。本研究の成果をもとに今後、OA-CDのラットによる齲蝕抑制実験を行ない、臨床応用にむけて開発を進める予定である。また他の野菜抽出物におけるデ-タをもとに齲蝕予防からみた食生活について考察を深めていきたいと考えている。
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