研究課題/領域番号 |
02557088
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
花野 学 東京大学, 薬学部, 教授 (60012598)
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研究分担者 |
笹原 邦宏 三共株式会社, 生産技術研究所, 主任研究員
小林 裕 神戸市立中央市民病院, 医長
鈴木 洋史 東京大学, 薬学部, 助手 (80206523)
澤田 康文 東京大学, 医学部, 助教授 (80114502)
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 助教授 (80090471)
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キーワード | 血液脳関門 / 脳毛細血管内皮細胞 / ドラッグデリバリ-システム |
研究概要 |
脳毛細血管内皮細胞には、10w density lipoprotein(LDL)や、いくつかのレクチンに対するreceprorの存在が知られている。本研究では、LDLや、concanavalin Aをdrug carrierとして利用する試みを行った。脳へ移行させたい薬物として、hexosaminidase A(HEXA),vincriーstineを選び、検討を加えた。まず、それぞれのcarrierをcyanuric chlorideおよびglutaraldehydeにより活性化し、HEXAーconcanavalin A複合体、vincristineーLDL複合体を合成した。このように合成されたリガンドの脳移行性に関して、in vitro培養脳毛細血管内皮細胞を用いて検討を加えた。ウシ大脳皮質から単離した内皮細胞をconfluーentになるまで培養し、この培養細胞へのリガンド取り込み(この取り込みはin vivoでのリガンドの血液脳関門透過に対応する)を測定したところ、HEXAーconcanavalin A複合体の取り込みは、HEXA単体に比べて有意に大きく、また、vincristineーLDL複合体の取り込みも、vincriーstine単体に比べて有意に大きいことが示された。 また、脳毛細血管内皮細胞には、histamine等に対するreceptorが存在し、リガンドが結合することにより、cAMP,CGMPの上昇、それに引き続くvesicular transportの活性化がおこることも報告されている。本研究では、cAMP,cGMPの脂溶性誘導体、dibutylーcAMP,dibutylーcGMPを培養内皮細胞に作用させ、これらのリガンドのプロモ-タ-としての機能について検討を加えた。添加により、イヌリンの内皮細胞への取り込みは有意に上昇し、vesicular transportが活性化されることが示された。 これらの実験結果は、毛細血管内皮細胞上のレセプタ-と相互作用を示すリガンドを、drug carrierとして、また、薬物脳移行促進のプロモ-タ-として利用しうることを示しており、薬物脳移行のドラッグデリバリ-システムの開発の基礎になるものと考える。
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