研究課題/領域番号 |
02557092
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
|
研究分担者 |
長谷部 薫 ダイワエンジニアリング(株), 播磨分析センター, 所長
吉良 尚平 岡山大学, 医学部, 講師 (50033212)
|
キーワード | 変異原性 / ブル-レ-ヨン / 環境水域 / 水域汚染 / 河川水 / 海水 / ベンゾ(a)ピレン |
研究概要 |
環境水域の変異原性モニタリングのためのブル-レ-ヨン懸垂法を確立するとともに、継続したフィ-ルドワ-クを行ない、検出した変異原性物質の解析を行なった。すなわち、京都、大阪を流れる淀川水系河川水の変異原性を1988年及び1990年にブル-レ-ヨン法で調査したところ、高い変異原性を検出し、その主要な汚染源が下水処理場の処理放流水にあることがわかったので、原因物質についての解析を行なった。高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分離を試みたところ、4種類のフレ-ムシフト型間接変異原が存在することが明らかとなった。また、1988年と1990年の試料を比較したところ、HPLCの保持時間が同じであった。従って原因物質はある特定の物質であることが示唆される。また、サルモネラ菌のO-アセチルトランスフェレ-ス高生産株YG1024(+S9)で強い活性が得られることから、多環性芳香族アミンであろうと推定した。 この新手法が従来法に比べてどのような利点があるか研究した。対象とする変異原物質としてベンゾ(a)ピレン(B(a)P)を用いた。まず、室内水槽実験により懸垂したブル-レ-ヨンにB(a)Pが吸着すること、吸着量は時間とともに増大すること、水槽内の水の流速が大きいほど吸着量が大きくなることを明らかにした。さらにフィ-ルドワ-クとして、瀬戸内海沿岸の海水にブル-レ-ヨンを24時間懸垂してB(a)Pが検出できるかを調べた。その結果10ヶ所の調査点から夏と秋の各2回集めたサンプルからB(a)B3.5-80.3mg/gブル-レ-ヨンを検出した。従来は、1lの海水を有機溶媒抽出して定量する方法が行なわれ、日本の沿岸海水からB(a)Pは検出されていなかった。
|