研究課題/領域番号 |
02557094
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研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
大村 智 北里研究所, 所長 (90050426)
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研究分担者 |
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助手 (40167987)
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
供田 洋 北里研究所, 研究部, 室長 (70164043)
奥田 重信 北里研究所, 研究部, 部長 (30013296)
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キーワード | 阻害剤 / ACAT / パ-パクチン / コレステロ-ル / 細胞内輸送 |
研究概要 |
北里グル-プでは、マクロファ-ジ泡沫化に関与するとされる一酵素アシルCoA:コレステロ-ルアシル転移酵素(ACAT)を標的とし、微生物代謝産物中よりその阻害剤の探索研究を実施した。その結果、一糸状菌<Penicillium>___ー sp.の培養液中よりパ-パクチンと命名した新規ACAT阻害剤を発見した。その構造解析を行うと同時に約10種の誘導体を調製し、J774細胞や東大グル-プで開発したマクロファ-ジ泡沫化系を用いて、細胞レベルにおいてもコレステロ-ルエステルの蓄積を抑制することを確認した。また、毒性とACAT阻害活性に関する構造活性相関を示すこともできた。現在、さらに優れた阻害剤を求めて探索中である。 一方、東大グル-プではマクロファ-ジ泡沫化における細胞内でのコレステロ-ル輸送機構の解明に着手し、興味ある新しい知見を蓄積しつつある。先ず、この輸送機構はコレステロ-ルの構造、特にその側鎖構造の認識が重要な役割を果たしており、ある種のアゾ-ル系抗真菌剤がこの輸送過程を特異的に阻害することを見い出した。この結果は、今までに報告されているステロ-ルキャリアタンパク質とは異なるタンパク質の存在を示唆するものである。更に最近、ある種のコレステロ-ル酸化誘導体が、コレステロ-ル輸送過程を強力かつ特異的に阻害することを明らかにした。この低分子化合物は、化学的に“不活性"であることから、コレステロ-ル輸送に直接競合して阻害している可能性が予想される。そこで現在、この化合物の放射標識体を入手しその細胞内動態の追跡と未知輸送タンパク質の同定をすすめている。また、このような輸送タンパク質の解析は、マクロファ-ジ泡沫化阻害のさらに新しい標的として、天然物からの探索研究への応用にもつながるものと期待される。
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