研究概要 |
本年度に達成した実績は以下の3点である。 (1)pcD3系ベクタ-群の改良と応用性の拡張 pcD3系ベクタ-(昨年度作製したもの)の宿主域を広げる目的で,幾つかの新しいベクタ-を作製した。その際マルチクロ-ニングサイトを更に改良して新しい制限酵素サイトと逆向きのT3RNAプロモ-タ-を挿入した。哺乳動物(pFP3/pFM3),分裂酵母(pFL3),パン酵母(pFY3)を宿主として機能発現クロ-ニング可能なベクタ-群が完成した。またレアカッタ-としてオメガクレ-ス(18塩基認識)のサイトを挿入したことでインサ-トの挿入、切り出しが楽になる計画である。 (2)幾つかのcDNAライブラリ-作製とその機能発現能の確認 このベクタ-を用いてヒト(HeLa)およびパン酵母由来のmRNAを用いてcDNAライブラリ-を作製した。既にpCD2ベクタ-系を用いて、分裂酵母のcdc2^-変異株を機能相補できるヒト遺伝子として我々が昨年クロ-ニングに成功した2B145をプロ-ブとし、HeLa cDNAライブラリ-をコロニ-ハイブリダイゼ-ション法によりスクリ-ニングすることで、pcD3ベクタ-に挿入された2B145をクロ-ン化した。これが確かにcdc2^-変異株を相補することからpcD3ベクタ-の有用性が証明されたことになる。 (3)分裂酵母変異株(cdc10)を宿主とした機能相補クロ-ニング このライブラリ-の有用性と高品質性をテストするため,cdc10変異株を宿主としてHeLaおよびパン酵母cDNAライブラリ-を用いて機能相補クロ-ニング行った。その結果,ヒトより10B135など幾つかの遺伝子が単離された。同様にパン酵母からは10Y120など10クロ-ン近くの遺伝子が単離された。現在これらの塩基配列を決定しつつあるが、このベクタ-を用いたライブラリ-の有用性は確かに証明された。
|