研究概要 |
抗てんかん薬は長期摂取することによりてんかん発作の発現を防止するために使用される。本研究は効果がすぐれ、副作用の少い抗てんかん薬を開発する上で必要なモデル動物として新規に開発した二重突然変異体である自然発症てんかんラット(zi/zi,tm/tm)を用い、抗てんかん薬を長期摂取させた時の効果を評価するシステムを確立することを目的に行われている。まず本動物の維持増殖のため、無菌環境下でチッタ-ホモ,トレモアヘテロ因子を有する動物(zi/zi,tm/+)同士の交配を行い、ほぼ予定通り1/4の割合でてんかんラットが得られるようになった。ついで、抗てんかん薬として臨床的に評価がほぼ確立しているバルブロ酸を5%の濃度にて飼料に混入させ、生後7週より自由摂取させ、飼料摂取量、血中濃度,体重,および血清を用いて肝機能などの生化学的検査を行うと共に、一週に一回の割合にて昼間2時間行動をビデオテ-プに記録し、けいれん発作の回数を対照群オス,メス各4匹,投与群オス,メス各4匹について検討した。この結果、この動物はバルブロ酸の味を嫌う様子で飼料摂取量は対照動物に比べて少く、従って体重増加も期待値よりも少なかった。血中バルブロ酸濃度はほぼ50μg/ml程度に維持され、発作回数も対照群の1/3以下に減少した。また延命効果も著明であり、対照群はすべて20週令までに死亡したのに対し、投与群の半数以上は25週令以上生存した。バルブロ酸5%混入飼料では摂取量が少いため、混入濃度を1%として上述と同様の実験が現在進行中である。またバルブロ酸の血中濃度が期待値より低いため、この測定を1日3回に分けて行っているところである。さらに発作発症後(9週令)からバルブロ酸混入飼料を摂取させ、その効果を検討する予定である。
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