研究課題/領域番号 |
02557102
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笹 征史 京都大学, 医学部, 助教授 (20025654)
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研究分担者 |
石原 熊寿 京都大学, 医学部, 助手 (20212912)
籾山 俊彦 京都大学, 医学部, 助手 (20230055)
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 助教授 (30025655)
山田 淳三 京都大学, 医学部, 教授 (90025651)
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キーワード | 自然発症てんかんラット / 強直性けいれん / 欠神様発作 / バルプロ酸(VPA) / 延命効果 / 血漿中濃度 / 長期摂取 |
研究概要 |
強直性けいれんと欠神様発作を示す自然発症てんかんラット(SER:zi/zi,tm/tm)が抗てんかん薬の臨床特性の評価に有用か否かを明らかにするための研究を行った。このために臨床的に一次全般発作と欠神発作に有効であり、その効果に耐性を生じないバルプロ酸(VPA)を経口的に長期連続摂取させ、抗発作スペクトル、延命効果、耐性の発現、肝機能ならびに血中濃度などについて検討した。前年度にVPAの至適飼料混入濃度を検討し、1および5%の濃度が適当であったのでこの濃度の混入飼料を生後7週令より自由摂取させた。体重、摂取飼料量を毎週計量し、けいれん発作および行動を毎週2時間ビデオテ-プに録画して観察した。11週令に脳波記録用電極を埋め込み、12週令以降毎週脳波を記録し、5-7Hz棘徐波複合の出現による欠神様発作の回数と持続時間を記録した。対照群の寿命(メディアン)は雄および雌それぞれ16.5および17.5週であり、1および5%VPA投与群の寿命はそれぞれ23.5および27.0週となり有意に延長した。けいれん発作は対照群において11週令以降発現し14週令には最大(8.3±1.2回/2時間)となった。1および5%VPA群において発作回数は有意に減少し、この抑制効果は20週令以降も認められ、耐性発現は認められなかった。欠神様発作も検討した1%VPA群において、検討した12-15週令の間抑制され耐性も認めなかった。VPA血漿中濃度は投与10週後(17週令)において、1および5%投与群それぞれ17.3±2.7および82.5±24.0μg/mlとなった。5%VPA投与群ではGOT、GPTの上昇傾向が認められたが1%投与群では肝機能検査の異常は認められなかった。以上の成績から肝機能に影響しない用量のVPAの長期摂取によりSERの寿命延長、てんかん様発作の抑制が得られ、てんかん患者の場合と同様、この作用に耐性は形成されにくいことから、SERは抗てんかん薬の臨床特性の評価に有用と考えられる。
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