研究課題/領域番号 |
02557105
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 講師 (60207975)
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研究分担者 |
黒尾 誠 東京大学, 医学部(病), 医員
中原 賢一 東京大学, 医学部(病), 医員
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 結核菌 / 非定型抗酸菌 / PCR / ドットハイブリダイゼイション / dnaJ遺伝子 / オリゴヌクレオチドプローブ |
研究概要 |
本研究で我々は熱ショック蛋白をコードするdnaJ遺伝子から抗酸菌属を広く認識するPCRプライマーを開発した。このプライマーは臨床材料から見いだされる一般細菌44種のDNAとは反応せず、検討した19種の内M.cheloneiを除く18種抗酸菌DNAを増幅した。増幅された抗酸菌各種を同定するために、M.cheloneiを加えた全19種の増幅dnaJ遺伝子同一領域の塩基配列196bpを決定した。これら塩基配列を比較するとその制限酵素切断部位に多様性が認められ、SmaI、NaeI、HinfI、FokIの切断パターンにより、結核菌群と非定型抗酸菌の鑑別と非定型抗酸菌14種の9グループへの分別が可能であった(PCR-RFLP)。我々はさらに塩基配列の置換を詳細に検討し、臨床上重要な4種の抗酸菌DNA(M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansasii)を特異的に認識する20塩基のオリゴヌクレオチドプローブを開発した。本PCRの検出感度は結核菌DNA約210fgでこれは50個の結核菌に相当する。PCR産物をさらに内側のプライマーで増幅することにより(Nested PCR)1個の結核菌の検出が可能となった。臨床材料98検体からPCR-RFLP法で抗酸菌DNAの検出を試みると、培養陽性21例では全て陽性、培養陰性77例中23例に抗酸菌DNAが検出された。これは本PCRの検出感度の高さを示す結果と考えられる。このように、PCR-RFLP法により、約1日で臨床材料からの抗酸菌DNAの高感度検出と、結核菌・非定型抗酸菌の鑑別同定が可能となった。さらに、塩基特異的オリゴヌクレオチドプローブを応用することで、本PCRは抗酸菌感染症の日常診断法として有用なシステムになりうると期待される。
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