特異抗体およびサイトカイン産生細胞検出用の高感度なELISPOT法の開発およびその自動化を試みた。まず甲状腺特異抗体産生細胞測定用ELISPOT法開発の基礎検討を行い、至適培養細胞数・培養日数等の決定およびこの測定法の甲状腺自己抗体産生細胞検出感度が従来のRIA法よりも高感度であることの証明を行った。次にカラー画像解析システムを用いてELISPOT法で形成されたSPOT測定の自動化に関する基礎検討を行った。システムとして、SPOTの形成された96穴プレートの各ウェルをウェルスキャナーで順次移動させ、各ウェル底面のSPOTを実体顕微鏡で拡大し、その画像を3管式カラーテレビカメラでとらえてカラー画像解析システムで行う方法を計画した。しかし、実体顕微鏡では光軸のズレが生じるため金属顕微鏡に変更した。この画像解析システムを用いてSPOTの画像を入力し濃淡処理を行って一定の濃度と面積を有するSPOTだけを抽出描画する二値化を行った。さらに測定間の発色度の差を補正するための濃淡処理を一定にするために、コントロールウェル(リンパ球を被験ウェルと同様に培養後、酵素標識抗体を添加せずに基質のみを加えたウェル)の発色度を被験ウェルの発色度から差し引く標準化法を考察した。この画像解析システムと目視法によるSPOT計数値はよく相関したが、画像解析システムの計数値は目視法の約1/3であった。この画像解析システムによるSPOT計数は、各種免疫グロブリンクラスの甲状腺自己抗体産生細胞検出用ELISPOT法にも応用できた。しかし、SPOTの面積および濃度の総和から抗体産生量を推定する方法は、培養上清中の特異抗体量を測定するRIA法の感度が悪いため確立できず、またサイトカイン産生細胞検出用ELISPOT法への応用EIL-2とIFN-αで試みたが、SPOTの表出が淡いため画像解析システムで計数できなかった。
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