研究概要 |
本年度は,平成2年度に作製したベッド温度測定装置を用いて高齢者の体動を測定した。特に介護者の補助によってのみ体位変換ができない患者の体動が正確に記録できるかを評価した。その結果,介助の時のみ体動が記録され,装置の信頼性,再現性が確認された。 光ファイバ感圧センサを用いた体動の検出は,ゴム光ファイバ3本をベッドに装着し体動により変化する圧力を測定した。装置はノート型パーソナルコンピュータとセンサ部より構成される。ビデオ撮影との比較で体動変化にともなう圧力信号の閾値を決定し,健常成人による実験を試み,体動を正確に測定することができた。 さらに家庭で容易に取り扱うことのできる半導体記録計の製作を試みた。従来の機器はややもすると家庭で取り扱うには難しい作業を必要とした。そこで家電製品と同様のON/OFF操作で記録計が作動し,例えばベッド温度測定システムに応用した場合,夜間の体動を自動的に記録するものを設計した。記録計は,センサ部と記録部から構成される。記憶媒体として揮発性メモリ(RAM)を用いた。設定は医師が行い,また医師は記録されたデータより指導や治療を行う。ソフトはマウス操作のみで作動し,各種設定を行うことができる。校正を必要とする場合は自動的に行えるようにした。家庭では記録計の電源をつなぐだけで,自動的に記録を開始する。センサ,電源コネクターの外れの警告信号を出すようになっており,信頼性を高めた。記録計をベッド温度測定用に応用し,家庭内での実験を試みた結果,ほぼ初期の目的を達し,器械の操作に不慣れな人でも容易に使用できた。
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