研究分担者 |
杢野 浩司 順天堂大学, 医学部, 医員
原田 賢治 東京大学, 医学部, 医員
後藤田 貴也 東京大学, 医学部, 医員
島野 仁 東京大学, 医学部, 医員
石橋 俊 東京大学, 医学部, 助手
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研究概要 |
動脈硬化症の成因は多岐にわたり,種々の治療の試みがなされている。マクロファ-ジ・コロニ-刺激因子(MーCSF)はマクロファ-ジの増殖及び分化を刺激することが知られている。動脈硬化巣内には,マクロファ-ジが存在して積極的にコレステロ-ルを蓄積しているが,MーCSFはこのマクロファ-ジへ直接作用して動脈硬化症の進展に関与していることが考えられる。私共は先ず,正常のウサギにMーCSFを投与して,そのコレステロ-ル代謝への関与について検討した。血漿コレステロ-ル値の約30%の低下をみとめた。次にLDLレセプタ-の欠損するWHHLウサギに投与したところ,同様に約30%のコレステロ-ルを低下をみとめた。この機序をアイソト-プを用いて検討したところ,MーCとFによりそのtarget crgauにおいてLDLの異化が亢進していることが明らかとなった。一方,MーCSFのマクロファ-ジへの作用を検討したところ,MーCSFはscavegerレセプタ-活性を著明に増加させることを見出した。さらにMーCSFはマクロファジ-に蓄積したコレステロ-ルの排泄にも積極的に関与していることを見出している。MーCSFの作用は多方面にわたり,生体の恒常性の維持に関与していると考えられている。コレステロ-ル代謝に関しても(1)血漿コレステロ-ル値の低下,(2)マクロファ-ジにおける度性LDLの取込み,(3)マクロファ-ジよりのコレステロ-ルの排泄に関与している。MーCSFは全体として粥状動脈硬化症の進展にはどの様に作用しているのであろうか、現在,この点を明らかにする為に,MーCSFを動脈硬化症のモデル動物であるWHHLウサギを用いて,長期投与をおこない明らかにしょうとしている。
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