研究概要 |
前年度は,(1)ユ-ザ-が必要なオブジェクトを,そのユニフィケ-ションを新しく指定して,自由に定義し,(2)それらのオブジェクトの間の関係の記述を行なう,という2段階のプログラミングが可能な新しい論理型言語を溝築した.ここでは,それを,PAL-IIと仮称する. 本年度は,前年度に引続き,PAL-IIを自然言語処理システムや学習システムに実際に応用して,その有効性を確認した.(1)自然言語処理システムTALKの改定版をPAL-IIで構築した.それにおいて,ユ-ザ-定義オブジェクトは非常に大きな役割を果す事が確認された.とくに,プログラムの等価変換による意味解釈という明快な枠組みの有効性を実験により確認した.ユ-ザ定義オブジェクトがなければ,プログラム変換は非常に困難になる.(2)PAL-IIで,論理回路の簡単化(合成)の学習を行なうシステムを構築した.それは,例からの学習を基礎とした方法を取っている.ここでも,ユ-ザ-定義オブジェクトは非常に大きな役割を果す事が確認された.回路は,素子の集合とみなすことができるが,それをユ-ザ-定義オブジェクトで表現することにより,回路変換ル-ルの合成を自動的に行なう事ができるようになり,それが,ル-ル学習を可能にした. 最後に,ユ-ザ-定義オブジェクトを使えば,オブジェクト指向言語(smalltalk)や関数型言語(miranda)などをPAL-IIに埋めこむことができることを実験的に示した.これは,PAL-IIの枠組みがプログラミング言語を統合する新しいエレガントな舞台を提供する可能性を示唆している.
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