研究概要 |
申請者の須見らは我が国の伝統的発酵食品である納豆より新規の線溶酵素(Nattokinase:NK)を発見し,国際的共同研究でその経口投与によって血中線溶活性の亢進と血管内血栓の溶解を証明してきた。 須見,浜田は(株)JCRの協力のもとでNKを完全純化することに成功し,その一次構造決定を完了した。NKは従来のウロキナ-ゼ,組織プラスミノ-ゲンアクチベ-タ-などではみられなかった一本鎖ポリペプチド構造(275個アミノ酸)であった。 中島・赤木はNKの持つ性質,特にフィブリンの溶解作用という生理面に焦点をあて検討した結果,NKは極めてフィブリン親和性が高く,また他の線溶酵素ではみられない強い直接の分解活性を持つことを明らかにした。さらに,各種合成アミド基質を用いた比較実験により(HーDーValーLeuーLysーpNAプラスミン基質)に最も高い特異性を示すことを証明した。 Clot Lysis法によるNKの力価検定法を確立した。また,同検定用のNK標準品(NK002)を調整した。 経口化に,より適したNK産生量が高く,ビタミンK産生量の低い菌株を日本各地のワラより分離し,総数2700株の中からNGー124を分離した。 須見らは,これまで一連の線溶酵素を用いた動物への経口投与実験の経験を生かし,粗標品ながらボランティアへのNKの経口投与実験を行い,明らかに長時間引き続く血中線溶亢進効果を各種パラメ-タ-(ELT,EFA,FDP,tーPA)で確認した。 須見らは,宮崎医大.生理学教室の協力のもとに血栓モデルの動物を作製しin vivoでのNKの効果を試験し,血管造影でNKのイヌ血栓溶解を確認した。また,ボランティア投与用のNRN調整を終え,カプセル化条件をも決定した。
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