研究概要 |
中島,浜田らは純化したNK(134.7U/mg蛋白)のキネティックスを検討した。合成基質H-D-Val-Leu-Lys-pNaに対するKm値(1.7×10^<‐2>M)は高かったものの,活性分子(N-trans-cinnamoylimidazooleを用いてtitration可能であった)当りの血栓(フィブリン)溶解能はplasminに近い強い活性を示すこと,また血漿中で分子量約4万の蛋白との新しい活性複合体を形成することを確認した。 純化したNKにはGlu-plasminogen活性化能はなかったが,現在第二世代の血栓溶解剤として開発されているpro-urokinase(SCUPA)に対する活性化能のあることがわかった。即ち,NKの線溶発現機序の一つに,これまでKlockingのブタ耳の潅流実験よりNKの血管系への影響(内皮からのplasminogen activator放出)が推測されていたが,それに加えて血中でのSCUPA→μ-PAを介するplasmin形成の重要性が証明された。NKの線溶発現は血栓モデルのイヌを用いたanigiographyの結果からも確認された。 その他,須見らは納豆中に分子量1-10万の線溶系への影響物質の存在を認めた。poly-Glu(分子量6,000-90,000)に線溶系賦活,poly-L-Arg,poly-L-Lys及びpoly-(Lys-Ala-Glu-Tyr)に抑制活性が確認された。 須見,KlockingらはNK活性2,100U/gのカプセルを調整し,家兎への長期投与実験を行い,血中TPAと共にMihara法による腎組織tissue plasminogen activator(t-PA)も有意に増加することを確認した。さらに,臨床実験としてNKカプセルの静脈血栓の患者への投与効果を検討し,赤木が血清FDP及びt-PA抗原量を測定し,それらの有意な上昇と,臨床的にも炎症及び疼痛の減少結果を認めた。また,現在NRNをバル-ン療法後の心筋梗塞患者に投与し,再梗塞に対する予防効果があるか否かを検討中である。
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