研究課題/領域番号 |
02558014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 康男 東京大学, 理学部, 助教授 (30004336)
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研究分担者 |
山形 達也 三菱化成生命科学研究所, 細胞認識研究部, 部長
工藤 重治 群馬大学, 医学部, 講師 (70008267)
井上 貞子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00053827)
北島 健 東京大学, 理学部, 助手 (80192558)
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キーワード | デアミノノイラミン酸 / KDN / KDN-糖タンパク質 / KDN-糖脂質 / 抗KDN単クロ-ン抗体 / オリゴ・ポリKDN / KDN-ガングリオシド |
研究概要 |
1986年に我々はシアル酸の全く新しいアナログであるデアミノノイラミン酸(略称KDN)を見出した。引き続いて、局在、タイプ、機能を異にするKDN-含有糖タンパク質を見出することに成功した(1987〜1990年)。1989年には、Yu.A.Knielらは呼吸疾患を惹起する細菌の莢膜多糖にKDN残基の存在を報告した。1991年夏トロントで行なわれた第11回国際複合糖質シンポウジウムでFranceのグル-プが魚類以外の動物種にKDNを見出していることを知った。シアル酸と同様、KDNは動物組織・細胞及びある種の細菌の莢膜多糖に存在することから、KDNを含む広範な複合糖質の存在を示唆している。こうした背景のもとに表記課題の研究を計画し、本平成3年度には以下の成果を挙げた。 1.オリゴ・ポリKDN構造の化学的微量検出法および分画法の開発:前年度に続き、今後の研究に役立つ微量分析法の開発を行ない、それらの成果は国際専門誌であるAnaluytical Biochemistryに現在印刷中である。 2.KDN-ガングリオシドの発見と構造決定:平成2年度に、ガングリオシドに対するKDN-ガングリオシドの存在を予見し検索の結果、平成2〜3年度にかけてニジマス精子に(KDN)GM3の検出・完全構造解析に成功し、その成果は1991年2月のゴ-ドン研究会議、上記第11回国際複合糖質シンポウジウムでの招待講演で発表し、J.Biol.Chem.に公表した。 3.抗KDN単クロ-ン抗体の産生実験:KDN-糖タンパク質及び(KDN)GM3を抗原としてKDNを含む各種糖鎖構造に特異的な単クロ-ン抗体の産生実験を始め、KDNα2→3Gal糖鎖に特異的な抗体価の高い抗体の産生に既に成功している。今後は更に抗体の種類を増やし、生体組織・細胞中でのKDN-複合糖質の微量発現を調査していく。
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