アフリカツメガエル骨形成因子群、BMP-2、4、7のうちBMP-2のカルボキシル末端側の21アミノ酸の合成ペプチドに対する特異抗体を作製し、この抗体がリコンビナントBMP-2と4をほぼ同等の感度(共に検出限界は5ng)で認識することを確認した。同抗体が動物細胞(CHO細胞)で発現され、培養液中に分泌されたBMPを検出することができたため、BMP精製過程でのウエスタンブロットによる検出に用いた。また特にBMP-4はマウス頭蓋冠由来MC3T3-E1細胞に作用し、骨型アルカリフォスファタ-ゼを指標とした強い骨誘導能を持つことが明らかになったため、MC3T3E1細胞を用いた生物活性測定系を確立し、BMPの検出に用いることとした。まず2種類のアッセイ系が確立しているBMP-4の大量生産を試みた。PCD(X)ベクタ-に比べ発現効率が高いことがわかっているPSD(X)ベクタ-にツメガエルBMP-4のcDNAを導入し、CHO細胞を形質転換した。同細胞をメソトレキセ-ト処理することによって、BMP遺伝子の増幅を行い、最終的に1600nMで細胞を維持することによってBMP-4の高生産株、2-16-1600株を得ることができた。無血清培地を用いて、約20リッタ-の大量培養を行い部分精製を試みた。精製ステップとして、分子量約1万の限外濾過による濃縮後、ヘパリンセファロ-ス・アフィニティ-クロマトグラフィ-、調製用逆相HPLC、調製SDSポリアクリルアミド電気泳動、分析用HPLCを用いた。最終精製標品のリコンビナントBMP-4の純度を検定したところ、分子量約4万に抗体で検出されるBMP-4のタンパク質を確認したものの約50%の夾雑タンパク質の存在を認めた。培養上清中の生物活性や部分精製BMP-4のタンパク質量から、生産量は1リッタ-当たり、10〜20μgであると概算された。また同標品はマウス筋肉へ投与することによってイン・ビボで異所性の骨形成を誘導することが、共同研究によって確認された。
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