研究概要 |
前年度CHO細胞で発現させたBMP-4タンパク質について、生化学的および生物学的性質についての検討を行った。BMP-4を特異的に認識する抗体(Ab97)を用いて、リコンビナントツメガエルBMP-4の分子量をウェスタンブロット法によって確認したところ、高分子量の二量体から分子量約20,000の単量体までさまざまな分子種のBMP-4が検出された。このことからツメガエルBMP-4も哺乳動物のBMP-4と同様に、生合成の過程でまず前駆体の二量体として分泌され、その後酵素的プロセシングによって活性型である分子量20,000の二量体に変換することが明らかになった。またN-glycanase処理によって分子量が低分子側へシフトすることから、ツメガエルBMP-4もN型糖鎖を有する糖タンパク質であることがわかり、哺乳動物BMP-4と生化学的性質の差異は見いだされなかった。 またリコンビナントツメガエルBMP-4の生物活性をマウスMC3T3-E1細胞を用いたアルカリフォスファターゼ誘導アッセイを用いて検討したところ、哺乳動物BMP-4と同程度の誘導促進活性を示した。in vitroバイオアッセイのみならず、マウス皮下にI型コラーゲンとともに埋植するin viroバイオアッセイにおいても強い骨形成能を示したことから、ツメガエルBMP-4は生物学的性質においても哺乳類BMP-4と等価であるとの結論を得た。これらの結果からツメガエルBMP-4も今後大量生産により、動物実験や臨床試験に有効に利用できるものと考えられる。 一方で、本研究によって作製されたBMPに対する抗体を用いて、骨(ウシ)からのBMP精製のためのスクリーニング系を確立した。約10Kgの長骨より、CM-セファロース、ヘパリンセファロース、逆相HPLCによって数10μgのBMP-2、およびBMP-4の純品を得ることができた。これによって食肉工業における副物産である骨の再利用価値を高めることができると思われる。
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