ツメガエル・アクティビン遺伝子のスクリーニング過程で単離された3種類のアクティビン関連遺伝子はその塩基配列から、骨形成因子ファミリーのうちBMP-2、-4、-7に一次構造が酷似したタンパク質をコードする遺伝子であることが判明した。骨形成因子タンパク質群はイン・ビボ・バイオアッセイでマウス皮下あるいは筋肉内に埋植することによって、骨や軟骨の形成を促進することから骨粗鬆症の治療薬としての可能性が期待されている。そこで本研究ではツメガエルBMP-2、-4、-7に対する抗体を作成し、BMPを検出するためのアツセイ系の確立と同時に、動物細胞(CHO細胞)での大量発現を目的として研究を行った。抗ペプチド抗体(Ab383)はBMP-2およびBMP-4にほぼ等しい親和性をもち、それらを識別することはできないが、ウシ長骨抽出液中のBMP-2、-4を高感度に検出することができるため、BMP精製のためのスクリーニングに有効に利用できる。一方、融合タンパク質(β-ガラクトシダーゼ/BMP-4)に対する抗体はBMP-4を特異的に認識し、BMP-2とは交又しない。また同抗体(Ab97)はBMP-4を非還元条件下でも認識できることから、免疫組織化学的検出にも使用できる可能性が高い。CHO細胞での発現においては、PSD(X)発現ベクターを用いると、比較的効率良くBMP-4が産生されることがわかったが、培養上清から部分精製によってツメガエルBMP-4の生物活性を証明できるものの、純化までには至っていない。今後より高発現のベクター・宿主の組合せを用いることが必要と考えられる。 さらにBMP-2およびBMP-4のmRNAは骨以外の腎臓、肺 心臓など多くの成体臓器で検出されることから、骨や軟骨の形成以外にも多様な生理機能を任っていることが予想される。今後、これら臓器における機能の解明も重要な課題である。
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