研究概要 |
1.シグナルペプチド中央疎水領域の役割:前年度は主として〔Leu〕nを持つシグナルペプチドについて解析した。本年度は〔Leu・Ala〕nをもつものについて膜透過活性とnの関係を調べた。その結果、〔Leu〕nの場合と同様に、膜透過活性は疎水領域の長さに対して高い特異性を示し、この領域が透過装置によって特異的に認識されていることが示された。一方、〔Leu〕nよりも長い疎水領域を必要とすることが分かり、全体としての疎水度が膜透過で重要な役割を果していることが示唆された。 2.再構成膜透過系を用いての解析:再構成系は活性が弱く、目下のところ明確な結論を導き出すに足るデ-タ-は得られていない。 3.N末端正荷電と中央疎水領域の機能の関連性:通常のシグナルペプチドではN末端正荷電は必須の役割を示す。しかし疎水領域の疎水度を強めると、膜透過は正荷電なしでも起こるようになり、正荷電を導入しても著しい活性の上昇が起こらないことを発見した。この現象は〔Leu〕n,〔Leu・Ala〕n両方について見られた。このことは2つの領域が機能的に関連しあっていることを示している。正荷電をもたないシグナルペプチドにおいてもタンパク質の膜透過はSecA,ATP,プロトン駆動力に依存していた。通常の膜透過機構を通して反応が起こっていると考えられる。なおこの場合、未知の因子がさらに関与している可能性を示すデ-タ-も得られている。 4.C未領域の役割:C未領域については特に新しい知見をうることはできなかった。
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