研究概要 |
骨折部では、軟骨細胞の分化と増殖が著しく亢進してさらに軟骨が石灰化した後、新生骨に置き代わり骨が修復する。骨折部位に抗凝固剤を投与したり血ぺいを除去すると治癒が遅れることからこの過程で血小板因子が重要であることが古くから示唆されている。しかしその物質的基盤はいまだ不明である。最近申請者らは、ヒト血小板の抽出物を軟骨細胞培養系に添加すると、軟骨細胞の増殖と基質産生が亢進することを見いだした。そこで本年度は、これらの成長因子の効率良い精製法を開発する。 「結果」 1,ト-ソ-社製TSK2000SWの他、島津社製、ファルマシア製の各種の分子ふるいクロマトグラフィ-用のHPLCカラムを用いて各種の溶媒(PBS,PBS+1M NaCl,酢酸アンモニウム)で血小板由来因子の精製を試みたがいずれも活性を損失した。(さらに検討中。) 2,逆相C18クロマトグラフィ-での三種類の溶媒(アセトニトリル,アセトニトリル+イソプロパノ-ル,イソプロパノ-ルのみ)を検討した結果、0.1%TFA+イソプロパノ-ルのみが活性の維持に良いことが判明した。 3,血小板抽出物中のTGFーbetaとFGFの含量を測定した(それぞれ10および1ng/0.1mg soluble protein)が、これらの成長因子では、血小板中に存在する強力な軟骨細胞増殖活性を説明することができなかった。 (現在、研究を続行している。)
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