研究課題/領域番号 |
02558020
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
長田 重一 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 部長 (70114428)
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研究分担者 |
西澤 幹雄 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 研究員 (40192687)
トンプソン M・エリック (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第二研究部, 研究員 (90203661)
辻 I・フレデリック (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第二研究部, 部長 (80201755)
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キーワード | 海ボタル / ルシフェラ-ゼ / 遺伝子発現 / レポ-タ-遺伝子 / 分泌タンパク質 |
研究概要 |
海ボタル(Vargula hilgendorfii)は夜行性の動物であり、刺激が加わると発光を触媒するルシフェラ-ゼ、及びその基質ルシフェリンを海水へと放出する。海ボタルルシフェラ-ゼによる発光反応はATPやCa^<2+>などの補助因子を必要とせず、かつその反応もルシフェリンが十分量存在する限り継続する。私達は、海ボタルルシフェラ-ゼのこれらの特徴に注目し、そのcDNAの単離を試みた。 すなわち、海ボタルルシフェラ-ゼを精製し、その部分アミノ酸配列を決定した。次いで、それに対応するオリゴヌクレオチドをプロ-ブとして、海ボタルcDNAライブラリ-より、ルシフェラ-ゼcDNAを単離した。このルシフェラ-ゼはアミノ酸555残基から成り、そのNー末端には細胞外への分泌に必要な疎水性のアミノ酸から成るシグナル配列が存在した。実際、このcDNAをサルCOS細胞で発現させると、その大部分のタンパク質は培養液中に検出された。 ところで、通常、動物細胞の遺伝子発現機構の解析には大腸菌CAT遺伝子がレポ-タ-として用いられている。私達は、海ボタルルシフェラ-ゼが細胞外へ分泌されること、その感度が非常に高いことから、遺伝子発現の効率よいレポ-タ-として使用できると考え、本研究ではその可能性について検討した。すなわち、種々の動物遺伝子のプロモ-タ-(SV40,RSV,EF1ーαやGーCSF)の下流にルシフェラ-ゼ遺伝子を挿入したハイブリド遺伝子を構築した。このハイブリド遺伝子を、ヒトやマウスの様々な細胞へ導入し、CAT遺伝子をレポ-タ-とした場合と比較した。その結果、マクロファ-ジを除くほぼ全ての細胞において海ボタルルシフェラ-ゼは細胞外へ分泌され、その量比はCAT活性とよく相関した。すなわち、海ボタルルシフェラ-ゼ遺伝子は、CAT遺伝子より数段簡便、かつ感度の良いレポ-タ-遺伝子となり得ることを示した。
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