研究概要 |
FTIR/CD測定用の光学系を製作し、既存のIRFー10赤外干渉計に組込んだ。その結果、波数2000ー800cm^<ー1>の領域のIRCDの測定が可能となった。分解能4cm^<ー1>,積算2000回(測定時…2時間)で△A×10^<ー6>の感度が得られた。実に測定時間の短縮とS/N比向上の為に,光学系・電気系の改良を進めている。 ポリペプチド鎖の局所的なコンホメ-ションおよび不斉構造の研究にIRCD法を適用するために,モデル化合物についてのIRCDの測定と解析を進めている。モデル化合物として,NーAcetylーLーalanine methylamide(AcーAlaーMA),NーPivalylーLーalanine methylamide(PivーAlaーMA),AcーValーMA,AcーLeuーMA,AcーProーMA,PivーProーMAを合成し,血塩化炭素,重水素化クロロホルム,ジメテルスルホキシドの有機溶媒中でのIRCDを測定した。 AcーProーMA,PivーProーMAは,稀薄溶液中では7員環を形成する分子内水素結合したC_7構造をとる。この構造に対応して3320cm^<ー1>に正のVCDバンドが観測される。濃厚溶液中では、分子間水素結合により会合し,3300cm^<ー1>を中心に,高波数側から(-+)のカップレット構造を示す。ヌアミドI,II吸収帯についても,各々時微的なVCDパタ-ンが観測される。今後これらのVCDバンドとペプチド鎖の立体構造との関連を詳細に研究してゆく所存である。
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