研究概要 |
本研究は2次元空間上におけるヒトの移動軌跡を計測するための小型・計量な計測システム(簡易アクトメ-タ)開発を目的とする。そのために,従来の万歩計程度のサイズ・重量の計測器作成を目標とするが,これに大容量のメモリを持った1チップ・マイコンを搭載して,活動量の時系列的測定および空間的分布パタ-ンの測定機能を内蔵させることが具体的目標である。 研究初年度においては万歩計の歩行センサを用いた歩数計測システムを開発した。これにより短時間(15sec.)毎の歩数を長期間にわたって計測することが可能となった。本年度においては,このシステムを学校教育場面の小学生に適用し,1クラス全員を対象として,オ-プン・スペ-スにおいて個別的な学習を行なっているときの活動性と一斉授業や休み時間帯など他の場面との比較,あるいは各場面における活動性の男・女性差などを検討した。 今後,活動性の空間的特性,すなわち,測定対象者の空間的移動パタ-ンの測定系を歩数計測システムに組込んで行く予定であるが,その予備的な検討として,(1)上記のオ-プン学習を行なっている小学生を対象として,視察観察法による活動の空間分布デ-タの収集を行なった。さらに(2)各個人にIDカ-ドを携帯させ,いくつかの特定の場所(具体的にはオ-プン学習場面に設定されたいくつかの学習用コ-ナ-)への接近を電気的に感知する定点観察システムを導入して,より厳密なデ-タ収集を試行している。今後はこうした基礎デ-タを参考にしつつ,アクトメ-タ自体による空間移動の計測機能を付加してゆく。
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