研究課題/領域番号 |
02559001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久遠 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (30021934)
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研究分担者 |
高井 麗敬 リツー応用光学株式会社, 取締役社長
川俣 純 北海道大学, 応用電気研究所, 教務職員 (40214689)
山中 明生 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (30182570)
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キーワード | 多機能型分光器 / 高感度ラマン分光 / 非線形光散乱 / 酸化物高温超伝導体 / 電子ラマン散乱 |
研究概要 |
前年度までに、本研究の目的である多機能型光散乱用分光器の基本的な製作は完了した。また予備的な研究により試作装置のうち、前置分光器部分の基礎特性が当初の予想を上まわる性能を有していることをも確認した。本年度はその結果に基ずき、実際のラマン散乱スペクトルの観測を行い、試作分光器の特性・有効性を確認することを目的として研究を行った。以下に具体的な研究成果を記す。 1.試作分光器のトリプル分光配置において30cm^<-1>以下の低周波数領域まで実際にラマン散乱スペクトルが観測可能であることがわかった。また周波数精度・分解能はそれぞれ1cm^<-1>・4cm^<-1>以上であることを明らかにした。この特性は満足ゆくものである。さらに、市販されている既製の分光器に比べて試作品が高感度のシステムであることも確認できた。 2.試作分光器はシングル分光配置で700cm^<-1>以下の領域まで測定可能である。従って、試作分光器を用いることにより信号強度の減衰をまねくトリプル分光配置の使用周波数領域を低減することが可能になる。またトリプル分光配置からシングル分光配置への移行も、簡単な操作によりスム-ズに出来ることを確認した。 以上により、試作した多機能型光散乱用分光器は、低周波数領域から高周波数領域まで高感度で、かつ実用性のあるシステムであることが確認出来た。この成果は論文としてまとめ、現在投稿中である。 なお、具体的な研究への応用研究も実施した。即ち、この新しい試作分光器を用いることにより、酸化物超伝導体の研究においても多くの成果を得た。特に、電子ラマン散乱実験により超伝導体の超伝導ギャップ並びに超伝導凝縮に関する重要な知見を得ることが出来た。特に後者は世界で初めての成果である。これは試作分光器が高感度であるために可能になったものである。(論文発表済) また試作分光器はリツ-応用光学株式会社により製作・販売される。さらに試作分光器の一部の規格を簡便にした一般ユ-ザ-向けの分光器も同時に販売される予定である。 以上、本研究は当初の目的を達成し無事終了することが出来た。
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