研究概要 |
平成2年度に行われた全国国立大学遺伝子実験施設長会議の席上,遺伝子操作技術の普及に伴い,アイソト-プ使用量の飛躍的増加が報告された。RI使用に伴う諸問題(バイオハザ-ド,汚染廃棄物処理など)を解決するためには,RIによらない核酸検出法が開発されなくてはならない。このために現在世界中でこの研究が行われており,既にかなりの成果があがっているが,未だRIと同等もしくはそれ以上の感度を誇る方法は開発されていない。我々の目的はRI法以上の高感度を有する代替法を開発することにある。 今年度は標的DNAにdigoxigeninで標識したプロ-ブをハイブリさせた後,アルカリ性フォスファタ-ゼ標識した抗体と反応させ,ついで酵素活性を蛍光基質を用いて検出するという系を用い,そのための蛍光基質の合成を行った。合成した基質は合計35種(クマリン誘導体4種,ナフト-ル誘導体26種,その他5種)。感度検定にはラムダDNAを用いたドットブロット法を,また結果の良かったものはさらにサザンブロット法による確認を行った。その結果,検出感度が1pg以上と低いものおよび転写膜に反応産物が吸着しなかったもの,酵素の基質となりえなかったもの計27種,0.1pg〜1.0pgの感度をもつもの7種,30fgの高感度をもつもの1種であった。この高感度をもつナフト-ル誘導体の構造式については最終年度の報告書に記載する。30fgの感度は既存のものの中最高であったが,研究の性質上1fgのものがえられるまでは成果の公表はしない方針である。
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