研究課題/領域番号 |
02559004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (10004590)
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研究分担者 |
岩本 正敏 東北学院大学, 工学部, 助教授 (40128955)
千場 良司 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (20207301)
手塚 文明 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (60004892)
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キーワード | 計算機幾何学 / 三次元生体計測 / 連続組織切片 / 粒体 / 空間距離分布 / トポロジ- |
研究概要 |
平成2年度は、補助金により導入したシステム(Hewlett-Packard社ワ-クステ-ション)を用いて連続切片からの画像デ-タの入力・三次元構造デ-タのファイル作成のためのソフトェアを準備した。これを基礎として平成3年度は次の病理学的課題を対象として、連続切片から生体構造を解析するための計算機幾何学的アルゴリスムを確立し、実用化の見通しを得た。 1.細胞・細胞核・膵ランゲルハンス島など、いわゆる「粒体」の計量システムを確立した。このシステムを2種の課題に応用してpilot studyを行った。第一は正常肝細胞・肝癌細胞の核を対象とした解析で、正常例では核DNA量のploidyに相当する規則的な周期性分布、肝癌ではaneuploidyに相当する非周期性分布が得られ、核の大きさがもつ生物学的意義が明らかになった。他方では糖尿病・非糖尿病膵のランゲルハンス島の計量を行い、糖尿病時の島の個数・大きさの分布などに重要な知見を得た。これらにより、今回設定したシステムの粒体計量における有効性は十分に示されている。この問題については現在、論文を投稿中である。 2.組織の三次元構築型における特徴を、無作為観測点からの空間距離分布パタ-ンを利用して抽出するためのアルゴリスムを確立した。これを肝臓の血管構築とその正常からの偏りの解析に応用し、慢性肝炎から肝硬変にいたるいわゆる小葉改築過程の程度を数量表現することに成功した。この成果は第6回計量病理学国際ワ-クショップ(1992年9月、イタリア)の基調講演として発表した。論文は一篇は現在印刷中、さらに一篇を準備中である。 3.生体構造、またはある種の病変では、三次元ネットワ-クとしての性格が形態上もっとも本質的な局面となっている場合があり、この様なものに対して位相幾何学的性質を抽出するためのアルゴリスムを確立した(1次Betti数の計量)。これに関連して、三次元構造の細線化を可能にする様な画像処理アルゴリスムの開発を試み、このプロジェクトは現在、東北学院大学工学部グル-プにより進捗中である。三次元細線化は画像処理として未解決の課題であり、完成すれば生体構造の骨格を解析する上で威力を発揮すると期待している。
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