研究概要 |
本年度においては,(1)最終的なシステムへのボトムアップ的なアプロ-チとしての,知識数の限られた具体的問題を扱う小規模な個別システムの構築,および(2)最終的なシステムの末端モジュ-ルとして組み入れる予定である種々の観察・測定デ-タを入力・解析するル-チンの開発,の2つに重点をおいて取り組んだ.このうちの(1)については,小規模システムの例題として,地質体の形成過程のうち,とくに火山砕屑物の形成過程を野外地質デ-タから推論する対話型システムの開発を行なった.このシステム開発にあたっては,ル-ルベ-ス型のエキスパ-トシステム開発ツ-ルIntelligent Developerとハイパ-テキスト型デ-タベ-スであるHyperCardを使用し,ほぼ実用レベルのシステム(Volcaniclastと命名)の構築に成功した.また,(2)については,ディジタイザを用いた3次元デ-タの入力・解析ル-チン,およびディジタル画像解析による堆積物の粒径解析ル-チンの開発を行なった.このうちの前者については,ディジタイザを使用して地形図をディジタル標高デ-タに変換した後,地形解析処理を行なって表面積・体積・勾配・流路などを計算するディジタル標高デ-タ入力・解析システムを構築はた.そして,実際にこのシステムを用いて,現在噴火中の雲仙普賢岳の溶岩ド-ムの体積変化を測定し,実用的な精度が得られることを確認した.また,後者については,火山灰等の堆積物の写真をイメ-ジスキャナを用いてディジタル画像化した後,画像処理・解析を行なって堆積物の粒径分布・粒子組成・粒子配列の規則性などを定量的に解析するシステムの構築に成功した.
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