研究課題/領域番号 |
02559009
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
丸野 重雄 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60024204)
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研究分担者 |
石川 知志 東京厚生年金病院, 整形外科医師
川口 健 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (80144195)
伴 清治 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10159105)
伊藤 晴夫 東京厚生年金病院, 整形外科部長
岩田 久 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90023796)
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キーワード | 生体インプラント材料 / 生体用傾斜機能複合材料 / 人工骨代替材料 / ハイドロキシアパタイト複合体 / セメントレス人工関節 / 人工歯根 |
研究概要 |
本年度に得られた研究成果の実績を下記する。:(1)新生骨の生成と密接に関係する各種リン酸カルシウムを合成し、その人工体液(疑似体液:SB)中での相変化挙動を調べた。HAはCa欠損となるが比較的安定。α-TCPは溶解速度が早く、Caが欠損したHAに変化する。β-TCPは比較的安定。OCPは迅速にHAに変化する。(2)電気的刺激による新生骨の生成促進を目的に、SB中で電気化学的方法により、生体骨無機成分類似の炭酸含有リン酸カルシウム塩水和物の合成と解析を行った。(3)(a)チタン、(b)ガラス、(c)HA-G-Ti複合体、(d)プラズマコ-トHA-Tiの各種インプラントを成犬の大腿骨及び脛骨に埋入した試料の骨との結合状態は、(a)では積極的な接触性骨形成は確認されず、(b)では特別な変化がなく、(c)及び(d)では明確な結合性骨形成が確認された。しかし(d)では、コ-ティング層と基材Tiの間に明かな剥離がみられた。さらに3ヶ月インプラント試料について、平均引抜き強度(pull-out test)を比較すると、(a)のas-preparedで0.8(MPa)、sandblasted(表面平均粗さ2.3μm)で3.9、(b)は測定できず、(c)では15.2となり、本研究のインプラントと骨との結合強度が極めて優れていた。(4)X線写真の結果は、上記(c)の試片では埋入期間1ヶ月で既に骨組織との接合状態が良好で、皮質骨部から海綿骨部に発達した仮骨化組織が形成された。また如何なる異物反応や炎症も認められなかった。(5)骨とHA-G-Tiインプラント界面及び結合断面を、超高分解能FE-SEM及び顕微FT-IRにより調べ、両者の化学的結合と、新生骨組織のコ-ティング層への侵入と分散HA粒子との接合による物理的化学的効果によって、複合体と骨とが強固に結合する機構を明らかにした。(6)HA-G-Ti複合体(Plug,人工骨頭)の骨への長期(27.31.38ヶ月)にわたるインプラントの結果、良好骨組織と結合が維持され、かつ異物反応や骨吸収は認められず、人工関節材料として十分な評価を得た。これらの成果は、11編の論文(発表予定1編を含む)と12回にわたる口頭発表にまとめられた。
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