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1991 年度 実績報告書

鎌倉新仏教と中古天台との交渉に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 02610010
研究機関大正大学

研究代表者

廣川 尭敏  大正大学, 仏教学部, 講師 (40199112)

キーワード観心教 / 法然門下 / 大原流 / 東陽流 / 椙生流 / 墮落仏教 / 本覚思想
研究概要

三カ年計画の第二年度として,本年度は初年度にすでにマイクロ化した諸文献写本類の解読作業を専らおこなった。その上で,問題を三項目の問題点に集約して研究を継続した。第一は観心教の問題である。観心教という視点から法然門下の浄土教学の教学的性格を解明すると,證空の西山義は中古天台大原流の良忍・縁忍・縁念の影響が強い。また隆寛の九品寺義は東陽流の忠壽,椙生流の皇覚・範源の影響が濃厚である。範源(隆寛の師)の著作とされる『天台肝心集』と隆寛撰述書との関係の解明は急務である。さらに一遍の時宗義にも観心教の影響が強くみられる。次に観心教とは逆の立場の系譜(長西の諸行本願義,聖光・良忠の鎮西義等)には宝地房証真の文献主義の影響がみられる。浄土宗の三祖良忠の著作には証真の『観経流私記』の引用が合計四十四例もみられるのはその証拠である。第二は塑落仏教と批判される口伝法門の性格の問題である。墮落仏教,つまり浄土教的に言えば,本願ぼこり(造悪無凝)という視点から法然門下教学の教学的性格を解明すると,ただ親鸞義においてのみ本願ぼこりの問題が発生し,親鸞義と類似する,證空義,隆寛義において問題がおこってはいない。第三は口伝法門の浄土教思想と法然教学および法然門下教学との関連性の問題である。口伝法門の最初の批判者としての法然は,具体的に言えば,(1)絶対から相対へ,(2)一元論から二元論へ,(3)修行の否定から修行重親へ,(4)現実肯から現実否定へ,(5)無相から有相へ,(6)観念念仏から称名念仏へ,(7)己心の弥陀・浄土から西方の弥陀・浄土へ,(8)来迎の否定から来迎の重視へ,等の独創的な浄土教学を独立せしめたが,法然門下の数学では再び本覚思想への回帰の傾向がみられる。このように中古天台との比較研究によって,法然およびその門下教学の思想的特色があきらかにされ得るものと確信する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 廣川 尭敏: "観経流伝通記と光明抄" 浄土宗学研究. 18. (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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