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1991 年度 実績報告書

古代ギリシアのエ-トスとCorpus Hippcraticum

研究課題

研究課題/領域番号 02610020
研究機関山梨大学

研究代表者

免取 慎一郎  山梨大学, 教育学部, 教授 (20020373)

キーワードCorpus Hippocraticum / ヒポクラテス / トゥキュディデス / 流行病(エピデミア) / 感染 / 免疫 / ミアスマ
研究概要

Corpus Hippocraticumを通して古代ギリシア社会のエ-トスの問題を考えるという研究を,歴史家トゥキュディデスとの対比を中心として多年継続して来た。「トゥキュディデスとヒポクラテス」ーその5ー(1991)は、この問題に関連する1980年代の内外の研究動向をめぐって、私なりの総括と、これまでの自分の研究の反省を試みたものである。最近の研究のnew trendは,いわば新しいSceptisvrの流行とみることができる。分析・比較の細密化が,時として「木を見て森を見ない」先行学法への不毛な批判におちいることの危険を指摘したつもりである。しかし文化人類学等の複眼的視点から,病の流行,とりわけ対人惑染,免疫などの問題を考えるという,従来の私の研究ではあまり重視していなかった問題の所在に気がつくことができた。とりわけ古代ギリシアでミアスマ(穢れ)とよばれた観念が、宗教的タブ-の領域のみならず、法・道徳思想の世界における罪の問題とも深くかかわっていることを発見した。「トゥキュディデスとヒポクラテス」ーその6ー(1992)では、初心に帰って,トゥキュディデス第2巻のアテナイの大疫の記事を,Corpus Hippocraticumと対比して考察したつもりである。そして両者ともに、病の流行・感染・免疫をミアスマの観念と関連させることを意図的に避けていることを指摘することができた。他方同時代の悲劇詩人の作品の中では,この観念は災悪の原因としてもっとも重大なものの一つとされている。この落差が何を意味するかを理解することが、古代ギリシア社会のエ-トスを考察するうえでの当面の課題となることを確認した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 免取 慎一郎: "トゥキュディデスとヒポクラテスーその5ー" 山梨大学教育学部研究報告. 41. 44-53 (1991)

  • [文献書誌] 免取 慎一郎: "トゥキュディデスとヒポクラテスーその5ー" 山梨大学京育学部研究報告. 42. 47-58 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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