(1)集団場面になれ難い子どもの気質的特徴 幼稚園の集団場面になれ難い子どもの気質特徴は、ゼロ歳の時点では普通の子どもと格別の違いは見られないが、1歳半の時点で既に差がある。「反応は激しく」「気分の質はネガティヴ」「注意の持続時間は短い」。3〜4歳の時は、それに加えて「初めての刺激に退避的」「変化への順応はおそい」が加わる。更に興味深いのは「活動のリズムはより規則的」である。日本の子どもは、どの年齢でも、アメリカの子どもより規則性は低い。ところがわが国では「規則的」な子どもが集団になれにくい。我々はかつて虫歯の多い子どもが「より規則的」であるを見いだした。これらの所見は極めて示唆に富んでいる。 (2)問題行動を示す子どもには「出だしの遅い子」が多い。 「注意欠陥障害」と診断された子ども28名の気質的特徴は極めて特徴的である。統制郡に比較して、リズムは不規則、退避的、慣れ難く、反応は激しい。更に注意の持続は極めて短い。気質診断類型では「出だしの遅い子」が多い。神経症的発症群の子どもでも「出だしの遅い子」の出現率が高い。気質と問題行動の因果関係は明らかでないが、「難しい子」よりむしろ「出だしの遅い子」に問題が多いのが日本の特徴である。 (3)子どもの気質の地域差は国際間の差より大きい。 気質カテゴリ-得点は地域によって異なる。宮城県北部の子どもは東京の子ども二比較して「活発」で不規則で、気分は暗く、きわめて気が散り易い。東京都内にも大きな地域差がある。
|