1.パイロットで追跡中の8ケ-スについて、生後6か月に家庭訪問を行い、約2時間の母子相互交渉の観察を行った。また、生後1から6か月までの子どもの健康状態、行動特徴についてのインタビュ-、子どもの発達検査を行った。さらに、母親であることへの態度、夫への満足度、社会的支持の程度、子どもの行動特徴についての質問紙調査を行った。 12か月にもう一度家庭訪問を行い、変型のStrange Situationの実施、母子相互交渉の観察、日常的な子どもの愛着行動についてのインタビュ-、子どもの発達検査を行った。また、母親であることへの態度、夫への満足度、社会的支持の程度、心理社会的ストレスの測定のための質問紙調査を行った。 その結果、生後6・12か月の母親の子どもに対する感受性や反応性が、妊娠中期の心理社会的ストレスの程度と関係することが示唆された。 2.妊婦8か月目の妊娠100名を対象に、心理社会的ストレスの程度、社会的支持の程度、心理的健康状態の測定を行い、高ストレス群20名と低ストレス群20名を抽出した。両群の妊婦に対して、妊娠10カ月目に、質問紙とインタビュ-で、妊娠への心理的反応、出産・育児への不安・心理社会的ストレスの程度、夫への満足度、社会的支持の程度、自分自身の両親の認知などを調査した。さらに、産褥期、生後1か月の母子相互交渉の観察、子どもに対する態度、母親であることへの態度、子どもの行動特徴、夫との関係の変化などについて調査した。 これらの資料の一次的分析から、心理社会的ストレスの程度が、出産や育児への不安と関係すること、夫への満足度が媒介的に働くことが示唆された。
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