本研究は、教師としての適性について、総合的に診断するシステムを構築すること、およびコンピュ-タを使って即座にプロフィ-ルとして表し、毎日の授業における授業の仕方、学級運営に役立てることを目的とする。平成2年度には、担任の教師(約30名)とそのクラスの生徒(約1000名)を対象として、教師には、指導観と実際の指導法について、生徒には、日頃の教師の指導法と望ましい教師の指導法という側面、およびクラスのモラ-ルについての調査を実施した。実際にデ-タの収集は、教師と生徒の人間関係がある程度固まったと思われる時期(2月)に実施した。 目下、これらの資料について、多変量解析法を使いながら解析中である。従来の研究を鑑みながら、まず第1に、教師側の諸要因、たとえば経験年数や性によって指導観と実際がどのようにズレが生じているか、また、生徒側の認知とのズレはどうか等々の視点から解析する。第2に、従来、教師の指導法と生徒の認知という側面だけを問題としてきたが、今回、社会心理学的な視点を導入し、学級の雰囲気、スク-ルモラ-ルなどが教師の指導法によってどう違うか検討する。第3に、今までの研究によって、クラスの生徒数も教師の指導法、学級の雰囲気にも微妙に影響することが明らかとなった。今回、生徒数の多少(クラスサイズ)と教師の指導法、学級の状況との関連が明らかにすることも目的の一つである。 平成3年度には、2年度に対象とした現職の教師に、面接調査を実施し、調査的なデ-タを補うこと、適性を診断するための基礎資料を作成し、診断のシステムを構築することが目的となる。特に、コンピュ-タによって指導法をプロフィ-ルとして表し、教師が気軽に情報を活用できるようにする。
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