福島県南会津郡舘岩村・田島町・南郷村に加えて、新潟県黒川村での現地予備調査を実施した。その上で、本年度の本調査実施地区を舘岩村と定め、次年度を福島県磐梯町に決定した。 それぞれの地域の統計資料の収集を完了し、その年次毎に資料を整理する作業を進めた。さらに、具体的に村落社会の変動を実証する為に悉皆調査の集落をいくつか選定して、舘岩村では、高杖原・八総の2村落に決定し、集落レベルでの予備調査まで実施した。 スポ-ツ・リゾ-トの建設及びスキ-実践の量的な増大が村落社会にいかなる影響をもたらしたかを実証的に研究するという目的に沿って作業仮設を立てた。それは、理論的に導き出したものでなく、予備調査の結果帰納的に取り出していった要因を整理しつつ立てた。その機能分析を(1)雇用増大 (2)コミュニティ形成 (3)余暇資源開発 (4)家族機能開発(定住化)の4側面に定め、実証した。特に本年度の対象地である舘岩村高杖原では(1)(4)の機能が実証しえた。 特に、高杖原部落では、酪農、稲作農業共に衰退し、離村寸前であった家の定住化にスキ-場開発は大きく機能した。さらに、第3セクタ-方式に依って開発されたホテルは、後継者の雇用のみならず、配偶者選択の「場」を提供したといえ、その結果家族機能を回復したのみならず、「家」存続の機能をもはたすこととなった。また、この村落のサ-ビス産業化(民宿化)を進め、就労形態の大きな変化が起こりつつある。
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