研究概要 |
1 新潟県内のいくつかの市町村に定期市の現況について照会を行い、33市町村から回答をえた。それによれば、個々の定期市の盛衰については不明であるが、複数の定期市からなる「定期市群」は以前として健在である。 2 新潟市内の三つの定期市は、ス-パ-,大型店などの他業態との競合による売り上げ不振のため、いずれも出店数が減少しつつある。 3 新潟市の定期市は戦後の数度にわたる場所の移転にもかかわらず、新潟市ほどの出店数減は生じていない。流通面での競合がそれほど激しくはないことと、生産者たちが、出荷ル-トに乗り切らない「はね品」の売り捌き先として定期市を活用しているためと思われる。 4 石川県鶴来町には,戦後しばらくの間まで六斉市が存在していた。地元の人の説明によれば,道路拡張のさいに廃止されたという。他業態との競合という経済的理由以外の理由によって消滅した定期市の一例であろう。 5 石川県およびその近辺には、現在では定期市群は存在しない。しかし、大正期まで遡ると、定期市群の存在した可能性がある。 また近年では、地域おこしの一体として、やや変則的な定期市が企画される事例がいくつかある。 6 定期市あるいは露店市の衰退に作用する諸要因のうち、行政当局の介入の諸相について、新潟市と東京都とを比較の事例として、公刊資料や新聞記事を使って歴史的な比較分析を行った。
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