1.大阪府ですでに獲得したデ-タに加え、関西地方、関東地方および九州地方での現地調査または研究者間の相互交流によって、諸宗教活動にかんする基礎資料の資料収集を行った。 その結果、仏教、民俗宗教関係の新たな資料を獲得し、それらを、地域研究の観点から、日本人住民と在日韓国・朝鮮人住民との社会関係の考察のなかで分析する理論視角を得た。 2.在日光山金氏親族会を対象に、その沿革史の資料収集、共同霊園の調査、主要行事の参観を行い、現在その全メンバ-に対して、宗教生活・家族・職業・民族意識に関するアンケ-ト調査を実施中である(1991年4月に完了予定)。 3.上記資料の収集整理と平行して、諸宗教とエスニシティとの関わりの質的分析を進めている。すなわち、世代、地域性、職業、教育、国籍などを媒介変数として、在日韓国・朝鮮人の民族意識が多様な方向に拡散化しつつある一方、様々な民族的自覚を高め統合化する動きも顕在化しつつあり、この様な諸ベクトルの交錯する場として在日韓国・朝鮮人の社会・文化状況の把握を、社会学理論を応用的に発展させる事を通して進めている。 4.韓国の大学機関所属の研究者と交流を行い、比較社会学の観点から、本国文化の変容過程の分析を進めている。 5.こんごは、これまで収集した資料を分野別に整理して個別論文の形で発表しつつ、社会学理論および方法論の応用的展開のもとにそれらの成果を再統合する。
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