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1992 年度 実績報告書

戦後日本社会の構造変動と集団就職に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02610091
研究機関東京学芸大学

研究代表者

高田 滋  東京学芸大学, 教育学部第二部, 助教授 (50137478)

キーワード社会構造変動 / 人口移動 / ライフコース / 集団就職 / 高度経済成長期 / 地域労働市場
研究概要

集団就職に関する諸研究の研究主題に多いのは,高度経済成長を支えた労働力としての地方出身の年少労働者が抱えた生活上精神上の諸問題,というものである。本研究は,そのことをも主題にしつつ,よりわが国の工業化過程における地方農村の役割とその変容に関心を有し,さらに,個人の人生上の選択に大きく影を落とす社会の構造変動を個人の生活史のレベルから追うことを主題にしたものである。
青森県からの集団就職は、時期からすると昭和40年がピークといわれるが,この県は,出稼ぎも含め,代表的な就職者移出県である。それだけ進学率の向上が遅れたのであり,また地元に残るための職場も少なかったのである。昭和44年の青森からの就職先企業一覧をみると,東京ほかの大都市の小さな職場の一つ一つに二人三人と赴任している。繊維工場などへまとめて赴任している例も少なくないが,先の例のほうが件数は多い。都会の砂漠に投出されるといった表現をしたくなるが,小さな家業的な職場への就職であるだけに,家族的な扱いも受けている。
研究の過程で気付いたことの一つは,地方農村の流動性である。青森県では過去より出稼ぎが多く,戦前にあっても北海道への漁業出稼ぎ等盛んであった。それと共通する事情,また感覚が集団就職にもあるように思われる。意外と流動的な社会であったことに注意すべきであり,他地域との広範囲な交流があったのである。さらに,東京などの都会での彼ら就職者の生活を追い始めると,都会での生活の堅実な側面がみえてくる。そのネットワークのありかたや生活行動の様子は,地方都市や農村のそれと同様の親族や友人を中核にしたものであり,後輩の出郷にも力あるものになっている。彼らは都会の中で一定の割合を占めているのであり,都市社会分析上,看過しえない生活のありかたを示している。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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