本年度は、鉄綱業と電機産業について、いくつかの工場でヒヤリングと資料収集、および既存諸統計の整理を行った。 鉄綱業は一時の不況から脱出し、好況にあるが、不況時に行った「合理化」ー設備の廃休止と定年延長の一時ストップ、大量の出向ーと、リストラクチュアリングが、好況になった現時点でも維続されている。リストラクチュアリングは、鉄綱業が、異業種への進出という形で進められている。とくに、ソフトウェア部門への進出、またレジャ-部門への進出というように、一方では、現代の花形産業へ進出する傾向であるが、他方では、養殖や植栽といった、あまり見通しのつかない分野にも進出している。そして、前者には、戦略出向という形で若・荘年の労働者が出向・転職するのに対して、後者には、中高年の余剰労働力を排出させるという形になっている。また、不況時に出向させた者を、好況になっても戻さないでおり、中高年労働者の排出を着々と進めている。 その意味では、「終身雇用」非適用労働者が増大しているといってよい。 電機産業は、80年代のリ-ディング産業としての地位を持続し、さらに拡大傾向にある。とくにIC部門は、1メガから4メガの時代に入り各企業とも旺盛な設備投資を行っている。しかも、それは自動化率を高める方向で進んでおり、無人化工場に近づきつつある。とはいえ、拡大基調にある電機産業では深刻な労働力不足に見まわれており、再び工場の地方展開が行なわれだしている。 そのなかで、勤務形態の多拡化が進み、三交替勤務、夜勤専門、3勤4休などの形態が出はじめている。
|