研究概要 |
1, 本年は豪雪山村である新潟県東頚城郡松之山町における調査を実施した。町は基本的には豪雪をこれまでの克雪から利雪に発想を転換し,町づくり対策の目玉として町営スキ-場を開設(1983)し,現在では年間4万人のスキ-ヤ-を迎えることに成功した。その派及効果は,松之山温泉の冬期利用率を高めている。 2, 観光とともに町産業の基幹となっている農業は,農家(869戸)の営農型態は水田プラスα型で,米作を主体として商品作物を付加する型態となっているが,最近は「ししとう」「うど」の導入がおこなわれている。注目すべき動きに有機農業による米栽培を推進し,その有機米を原料とした「玄米がゆ」加工業(「ドリ-ムファクトリ-」)が誕生したことである。 3, 町づくりという観点で注目すべき活動の一つに,都市と山村の交流がある。町は東京都葛飾区と姉妹都市協定を結び,小中学生の相互交流,農産物の販売会など交流を実施している。 4, 役場,農協など町内機関・国体による町活性化の努力と共に,ボランタリ-集団による草の根運動が展開されている。農業後断者による「サ-クル活動薪(わっつわば)」,伝統芸能を継承する「神楽保存会」,自然保護運動を展開する「野鳥愛護会」など21の集団が活動している。 5, 豪雪下の生活実態と住民意識調査を湯山,下川手集落で実施したが,除雪作業により生活は改善されたが,雪おろし作業など住民生活に豪雪が負担となっていることが明らかになった。 6 昨年と本年の津南・松之山町調査から共通していることは,豪雪山村社会活性化の方法に,克雪から利雪へという発想の転換があったことで,両町ともスキ-場,雪のイベント,豊かな自然を生かしたリゾ-ト開発により,地域資源を生かした町づくりを展開している。
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