本年度は、研究開始2年めにあたり、昨年度から継続的に行なってきたライフコ-ス研究の先行研究を跡づける作業を基礎に、本研究への適用についての理論的検討を行ない、さらに、郵送法による質門紙調査を実施し、その集計と分析を行なってきた。 社会教育・生涯学習関係職員、特に社会教育主事の専門性とその形成について、先行研究・調査報告を広く検討し、一定の整理を行なったのち、実際に職員からの意見聴取も行なって調査票の研究を行なった。 調査は、岡山大学で昭和59・60年度に社会教育主事講習を受講した人々約160人に対して行なわれたが、内容は、社会教育主事講習の評価主事講習以前の社会教育経験、主事講習以降の社会的活動、日常的な文化活動、専門職としての職務の理念と現実、などの項目から成っている。 調査票は9月に発送し、約7割の回収率であった。詳細な分折は現在作業中であるが、主事講習以外での専門性形成の場として日常的職務などに注目すべきであることなどが示唆されそうである。また主事講習を通しての人間関係の形成が案外意味をもっていることも示唆されそうである。いずれにしても、専門職員養成の制度としての社会教育主事講習の存在意義は大きいが、これだけで専門性が形成される、あるいは専門性形成の条件が整備されていることは考えられにくいことが明らかになってきたと思われる。 この調査の補完のためのインタビュ-調査も必要な範囲で行ない、関連資料の収集も進めてきた。また、企業メセナ等との関係において、芸術・文化関係の専門職員像についての文献研究についても着手しており、研究の最終年度に向けての準備を整えてきている。
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